菊岡氏一(うじいち)


 師堂派。坊主・三宅栄一(玉崎栄一・久保栄一)。寛政10年(1798)正月元日権成。

 菊岡楚明一の師といわれる一山検校維清一はこの人か。

 『表控』等には、一山維清一という検校の任官記録はない。菊岡楚明一については『座下控』に「坊主・一山維清一、祖父坊主・久保栄一」とあるので、一山維清一の坊主は久保栄一であることがわかる。久保栄一(前名・玉崎栄一、三宅栄一)の弟子で、検校となった者は数名を数えるが、その中では菊岡楚明一と在名を同じくするこの菊岡氏一が、楚明一の師、すなわち一山維清一である可能性が最も高い。
 もし菊岡氏一が一山維清一の前名であるとすると、弟子の菊岡楚明一が文化3年(1806)に検校に任官しているので、菊岡から一山への改名は文化3年以前ということになる。


《2015年8月》

検校列伝

当道